7月も終わりですね、地図子です。
2018年7月といえば、色々な出来事がありましたが、
地図子的には、東京都葛飾区の京成立石駅前の開発が遂に始まらんとのことでした。
まさに昭和の趣ある商店街や路地に溢れた京成立石でしたが、
その風景もどんどん新築ビルに置き換わっていく運命なのです。
今回はそんな京成立石を偲んで文章を書きましたのでお楽しみください♩
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
15年前のぼんやりした記憶がある。
僕は物心着いた時からずっと駅の北口に住んでいるのだが、
その記憶は現在と違いすぎてまるで夢のようだ。
当時は小学生だったので、家の近所を自転車に乗って遊んだりしていた。
道を歩くのはほとんどおじいちゃんおばあちゃんばかりだったけど、
路地で遊ぶ僕たちにも、ゴロゴロしている猫たちにもよく食べ物をくれた。
夜は酔っ払いが多くて、父親も平日の夜はよく楽しそうに帰宅していた。
週末には踏切を渡った南口の商店街まで一緒に散歩し、
おもちゃ屋さんでお菓子やおもちゃを買ってもらうのが恒例だった。
北口に戻ってくると顔なじみのお店のおばさんが店前を掃除していて、
会うたびに「成人したら親子で飲みに来る」なんて豪語していた。
時は流れ、僕が住むこの街は変わった。
まず駅ビルができて反対側に行くのに踏切が開くのを待たなくて良くなった。
もっとも駅ビルが充実して南側の商店街に行くことはほとんどなくなったが。
駅直結の高層マンションも何棟か立って、住民も遊びに来る人も若い人が増えたので、
今では平日も休日もホームから人が溢れそうだ。
僕は中学から区外に通っているのだが、最初は地元について誰も知らなかったのに、
今では友達がわざわざ買い物に遊びに来るほどだ。
おじいちゃんおばあちゃんばかりだった頃とはまるで大違い。
父親が今のこの町を見たら知らない世界のようで唖然とするだろう。
この町は便利になった。どこの町にもあるものが大体揃った。
でも友達と駅ビルの中で遊んでいると、たまにふと、
僕は何を案内しているのか、分からなくなるのだ。
僕が思い出すのは、
自転車で爆走していると怒るけどたまにお菓子をくれるおじいちゃん、
みんなでありったけのお小遣いを握りしめて行くおもちゃ屋、
平成にも入って何でこんなに木造なんだよって突っ込みたくなる路地、
友達とけんかした帰り道に涙目で見上げる踏切と通過電車、
父親とそろそろ通えるはずだった居酒屋のおばさんのかすれた声。
「おーい!」
友達に呼ばれて我に帰る。最近入ったばかりのスタバに行きたいらしい。
2018年夏の記憶はパチンとはじけた。