ふと思い立って、プチ冒険

私は鉄子ではなく、地図子です

山手線二十九景 -16 秋葉原-

 

chizuchizuko.hatenablog.com

 

 

 

有楽町から山手線に乗って辿り着いたのは、

こだわりの街、秋葉原だ。

 

広告の配色だけでいうと渋谷と似ているはずなのに、

渋谷が一般ウケする内容なのに対して、

秋葉原は一気に対象とする観衆がコアになる。

 

 

 

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また、秋葉原は私の中で勝手に

「外国人との観光でないと行かない街トップ3」の第2位に認定されている。

 

 

 

第3位はお台場。

こちらは交通の便が悪く普段は行かないが、行ったら行ったで日本人も楽しめる。

第1位は築地。

こちらは年1で血迷って豪華な朝食を食べに行くかどうかだ。

 

 

 

そして第2位の秋葉原は交通の便はいいが、

お店がマニアックでなかなか分からない。

 

 

 

が、有楽町での待ち人のインドネシア人の男友達は秋葉原で買い物したいというので、

ほとんどない秋葉原の知識を頭の中でぐりぐり探しながら山手線を降りる。

 

 

 

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金曜日の夜にも関わらず、秋葉原には人が少ない。

おそらく山手線上で、金曜日の夜の人口増加率が最も少ない駅だろう。

こだわる人々には曜日は関係ないのである。

 

 

 

男友達に、まず何をしたいか聞くと、

「職場の上司にお土産を買わないといけないので、ドン・キホーテに行きたい!」

とのリクエストを受ける。

Google Mapを駆使して、あたかも毎日秋葉原に通っているかのように誘導する。

 

男友達は上司にドン・キホーテでどんなものを買うのかと思っていると、

ずんずんとガラが悪いエリアに入っていく。

手に取ったのは、携帯用灰皿だった。

ドン・キホーテでお土産に携帯用灰皿を買うという発想がなかった。

 

 

 

男友達は職場専用の小銭をガサガサと出し、

ドン・キホーテで一通りお土産を買い終えると、

次に、

「彼女と友達に化粧品を買って来いと指令を受けている」

とのことだ。

またもやこっそりGoogle Mapにお世話になり、マツモトキヨシに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

マツモトキヨシに着くと、男友達は

熱心に化粧品売り場で商品を比べ始めた。

インドネシア人と言ってもいかつい系ではなく、

大量に汗をかきながら必死で歩いているドラえもんみたいな男友達なので、

化粧品とのコラボレーションはなかなかシュールな光景である。

 

男友達は2種類の口紅を手にとって、私の方に振り返った。

 

「この色とこの色だったら、どっちの方が彼女に似合うと思う?」

 

 

 

 

 

 

 

いやいやいや。君が私の彼女か。

誰が女子なのか分からなくなってきた。

おまけに、確かに私も彼女に会ったことはあるが、

男友達の方がその35億倍は彼女について詳しいはずである。

 

 

 

と、言いかけた言葉を飲み込む。

私の役割はあくまでも親切に秋葉原を案内してあげることだ。

 

2色をよく見比べて、

「こっちの方がいいんじゃない?」

と暗めの方を指差した。

 

 

 

 

 

 

 

「え~、そっち?彼女にはこっちの方が似合うでしょ。」

男友達は不服そうな顔で私が指差した暗い色を棚に戻し、

明るい方を最後にもう一度確認し、納得した顔でかごに入れた。

 

 

 

 

 

 

 

宇宙中を探してもなぜ私に意見を求めたのか理由が分からない・・・

 

そもそも携帯用灰皿と口紅であれば、わざわざ秋葉原で買わなくて良かった気もする。

すっかり彼女の謎思考に頭を抱えている彼氏の気分である。

 

 

 

 

 

 

 

秋葉原は世界的に見ても、どこまでもこだわりの街なのだった。

 

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