皆さんこんばんは、地図子です。
本日は渋谷区の暗渠、いもり川へ皆さんを誘います・・・
平日の昼間に飛び出した。
階段から見下ろす六本木通りは光が強すぎてぼやけた写真のようだ。
後ろは振り返らない。
階段の下へ、ひたすら前へ。
トンネルから抜け出すと、私は誘われていた。
ビルに囲まれ一日中日が当たらない階段が、ここが東京山脈の谷間だよと語りかける。
あなたの気持ちと一緒に、下へ下へ、落ちよう。
東京山脈の谷間はしんとしていた。
ここには自分という存在と、コンクリートに触れる靴音だけ。
山の上で光を浴びながら生活している人も、影に潜む私には気がつかない。
東京山脈の森は深まる。
周りの建物は新しくキラキラしている。なのに生活の気配は一切ない。
暗渠の周りも、また暗渠の空気をまとう。
ふう。
暗渠という谷の底で、大きく深呼吸した。
自分の呼吸の音を封じると、聞こえてきたのは水が流れる音。
太陽の真下で、小さな人間はずっと縮こまって耳をすましていた。
川は、確かにここを流れている。
小径はうねる。先は見えない。
問題の解決策も同じく見えない。
川がどこに向かって流れているのか、水のみぞ知る。
いもり川、それは突然渋谷川に合流した。
水のように流れることはできない。せめて足をブラブラさせる。
小さい男の子が落とした落ち葉が、つーーーっと頬の上を流れていった。
いもり川
渋谷川の支流の暗渠