ふと思い立って、プチ冒険

私は鉄子ではなく、地図子です

水が流れるあの町へ

2018年も半分ですね、地図子です!

今回は次に歩く川を記念して、エッセーをお届けします。

 

 

 

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Home is where the heart is. 

 

 

 

皆さんには故郷と呼べる場所があるだろうか。

故郷とは大抵自分が生まれ育った町、長く住んだ町を指す。

でも、自分が住んだ町を故郷と思えない場合もあるように、

自分が住んだことはない町を故郷だと思う場合もあるのではないか。

 

住んだことはないのになぜか心は魅きつけられる。

私にとって高幡不動はそんな場所だ。

 

 

 

 

 

新宿から京王線の特急に乗って約30分。

駅の南口に降りてまず感じるのが、すっと深呼吸をしたくなる安心感。

京王ストア・食品の店おおたなどスーパー、ドトール、携帯ショップ、銀行、

駅ビルには100均も本屋もアパレルも大体のお店が入っている。

 

お店がほどよくコンパクトにまとまっているので、今後大規模開発はないだろう。

その一方で都心からは離れているがなぜか廃れることはないだろう。

高幡不動は変わらない。そういう安心感がある。

 

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色々な町が盛り上がったり廃れたりする中で、

なぜ高幡不動はこの絶妙な安心感を保っていられるのだろうか。

その答えは南口の右側にあった。


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高幡不動尊への参道が駅前のロータリーから伸びているのだ。

高幡まんじゅうも買えるし、天丼も食べられるし、ちょっとした観光気分が味わえる。

もう1本線路に近い若宮通りに入れば、ローカル食を楽しむことができる。

 

 

 

参道を歩いて、高幡不動尊金剛寺に向かう。

横断歩道を渡ればすぐだ。

鮮やかな赤で塗られた五重塔は、いつ見上げても美しい。

周りには、春は桜、夏は紫陽花、秋は紅葉、冬は雪景色と日本の四季が結集し、

縁日、写経会、お盆祭りなどで人が集う。


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高幡不動尊はお寺だけではない。

四国88ヶ所のお遍路を一気に体験できる不動が丘へ登ろう。

ここには高幡城跡が残り、多摩の景色、ひいては都心を一望することができる。

戦略的にお城を構え、ここから関東平野を見下ろした当時の人の気持ちとは。


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高幡不動尊を裏から出て、河原に上がる。

そう、高幡不動は山であり、川なのだ。

ふと見れば、きっと五重塔があなたのことを見守っている。


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ふれあい橋で空を仰ぎながら、1人で物思いにふけるも良し。

友達と缶ビールを開けるも良し。

水は必ず上流から下流に流れ、留まることを知らない。


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新井橋まで来ると多摩都市モノレールが空に線を引く。

ちょうど7年前、このモノレールに乗って浅川を通過したときに、私は、

「あ、私が探していたのはこの場所だ」

と直感で分かった。

心地よい川幅、光る高幡不動尊に真っ白なふれあい橋。

高幡不動の良さを全て見回せるのがモノレールのこの区間だ。

 

モノレールは北上すると多摩川によって生まれた平地、崖線を超えて、

最後は壮大な多摩湖直前まで到達する。

南下すると隣の程久保駅からすぐに七生丘陵が立ちはだかる。

その景色に、人間はどんな山の上でも家を建てて住むことができるのだなと驚く。

 

高幡不動は世界と世界の間のどこでもドアなのかもしれない。


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駅の北側には浅川を軸に、多種多様な水路が今も現役で水を運んでいる。

その透明さ、人間と自然の共存の様子には息を飲む。

川からの綺麗な水が高幡不動の血液となり、今日も町は生きる。


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北口から駅に戻ってきたところで、最後は南口の若宮通りに戻って腹を満たそう。

ラーメンでも寿司でもインド料理でも何でも揃っている。

ふと高幡不動に舞い戻ってしまった日には、あなたの胃袋は既にしっかり掴まれている。


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らーめん専門店小川 高幡不動店

 

 

 

 

 

住んだことはない。住んだことがある場所に似ているのかもしれない。

けれど高幡不動では

いつも高幡不動尊が町中から、川沿いから、モノレールから見守ってくれて、

いつも水はさらさらと山奥から海に向かって流れ、

いつも同じラーメンが出てきて、最後に手を振ってくれる。

だから心の故郷なのだ。

 

今日もゆっくり時間を刻みながら、私を、あなたを、待っている。

 

 

 

 

 

お題「行きたい場所」

お題「今日の花」

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by リクルート住まいカンパニー