幻のような青。
空と海の境目が分からない中、ゆっくりと進む船。
遠くに見えたのは、一筋の光・・・
そんな浪漫があるのが、海を照らす灯台。
旅をしていて海に出て巡り合うと、旅行の非日常ととてもマッチします。
普段東京近郊に住んでいるとなかなかお目にかかる機会はありませんが、
最初に灯台の非日常を味わったのは、映画館で観たハナミズキがきっかけでした。
北海道の美しい風景の中に佇む白い灯台をよく覚えています。
時は流れ、灯台のことはすっかり忘れて川や暗渠にハマっていたのですが、
そんなあるとき、こんな問いが:
日本は島国で、四方八方を海に囲まれています。
そんな国なので、日本にはなんと合計3,300機もの灯台があるそうです。
その中でも登れる灯台は100?300?1000?
なんと驚くことに、登れる灯台は16基しかありません。
そんなことを教えてくれたのは地図ラー灯台部の村田さん。
地図ラー2のリトルプレスでもその魅力について書かれています。
そして地図子はよく知らないままに、そのうちの1基に登ってしまったところから、
この「登れる灯台の旅」が始まってしまったのです・・・!
登れる灯台 #1:角島灯台(山口県)
登れる灯台に行く前にやるべきことは、地図を眺めて灯台の位置を妄想することです。
登る灯台が気になり始めてしまったきっかけは、ブラ地図子 -萩 後編- のとき。
山口県は犬の横顔のような形なので、大体鼻の先くらいにありそうかな・・・?
村田さんに「そこ登ったんだ!」と言われたのは、
やはり山口県の鼻の先、もはや鼻息のような角島にある角島灯台です。
元乃隅稲荷神社から車で海岸沿いを走って約35kmです。
外から灯台を見上げます。
角島灯台は香川県の男木島灯台とともに日本で2基だけの無塗装の灯台で、
白ではなく薄灰色の花崗岩石の灯台でした。
少し日本離れした、ヨーロッパの城砦のような雰囲気があります。
この角島灯台は登れるだけではなく、明治時代に建設されて今も現役の灯台のうち、
最も価値が高いAランク保存灯台に指定されています。
参観寄付金300円を払って、灯台の上に登ります。
灯台から見える景色は・・・日本海が深い青で驚きます。
後は、山口県特有の海沿いまで山が迫った風景が続きます。
この灯台で一番覚えているのが、なんとも中の階段が狭い。
すれ違えないので下りの人が優先なのに、上りの人がどんどん登ってきてしまって、
灯台の展望台に人が溜まってしまって大変でした。
灯台観光するときは是非下りの人優先のルールを思い出すようにしましょう!
登れる灯台 #2:都井岬灯台(宮崎県)
しばらく灯台に行けていませんでしたが、その次に訪れたのは・・・宮崎県!
宮崎県を俯瞰すると、灯台を造りたくなるのは・・・
南の尖っている部分かな?
・・・と思っているとビンゴ!ここに都井岬灯台がありました。
ブラ地図子 -宮崎編- のときに宮崎市から約90km南下します。
移動だらけの日程をしょっちゅう組んでしまう地図子には見慣れた数字ですが、
こう見ると片道2時間近くかかるのでだいぶ遠いですね・・・
さあ、行ってみましょう!
外観は灯台自体の高さはさほどないですが、灯台までの階段が立派!
灯台の上から見れる眺めに期待が膨らみます。
灯台からの景色は圧巻です。
270°くらい、空と海の境目が分からないような日向灘を見渡すことができます。
真ん中を通る船は外国に物を運ぶのでしょうか・・・?
都井岬灯台の一推しポイントは周りの都井岬に生息する・・・野生馬!
灯台へ向かう途中の道でも草をもしゃもしゃ食べていますし、
なんとラッキーであれば灯台の展望台からも馬が見えちゃいます!
野生馬なので触ることはできないですが、割と近くまで寄ることができます。
そんな野生馬との出会いも合わせて都井岬灯台を楽しんじゃいましょう♪
おまけ:登れないけど素敵な灯台
日本に16基しかない登れる灯台以外にも、幸運なことに多くの灯台が残っています。
角島灯台のような「Aランク保存灯台」もあれば、
国際航路標識協会が選定した「世界灯台100選」(日本からは5基)などもあります。
中でも1998年に全国の灯台ファンに募って選定した「全国の灯台50選」から、
地図子が知らない間に訪れていた2つをご紹介します。
知床岬灯台
なんとも思い出深い灯台、なぜなら地図子はこの北海道旅行のとき、
ジンギスカンにあたってとてつもなく体調が悪かったからです。
ホテルで寝てようと思ったのですが、知床まで来て何も見ないのも悔しすぎるので、
這いつくばって遊覧船ツアーに参加しました。良い時代だなぁ。
知床は8月なのに15°前後で上着が必要なくらい寒く、
車の中でも遊覧船の上でも、ひょっこり熊が現れるのが当たり前な世界でした。
遊覧船が折り返し地点に到達すると、ようやく知床岬灯台を見ることができます。
この知床岬灯台には車では行けず、遊覧船からでないと見れないのです。
(こんなチャレンジャーもいるようですが→知床岬を徒歩で往復してきた! )
遊覧船から白黒ストライプが孤高にそびえ立つのを眺めるのみ。
あの位置に灯台を建てるのも大変だっただろうな〜と想いを馳せたくなる場所です。
大瀬埼灯台
もう1つは、地図子が見た中で今のところ一番好きな灯台。
去年ブラ地図子 -長崎 前編- 、ブラ地図子 -長崎 後編- の後に
長崎港から船で五島列島の福江島に行ってきました!
新垣結衣さん主演の「くちびるに歌を」を観て以来、念願の地です。
福江島は思っていたより広かったので、(鹿児島の与論島くらいだと思っていた)レンタカーで島を一周!
その中で辿り着いたのが島の繁華街の正反対にある大瀬埼灯台です。
駐車場から灯台まで1km強あるという看板が出ていて、
そこから崖っぽい道なき道をひたすら進んでいったのですが・・・
最後に辿り着く景色がこれって最高じゃないですか?
夏休みのいい時期でしたけど、周りに人はほとんどいません。
世界の果て感をすべて独り占めです。
一度谷に降りて、また階段を登って灯台まで辿り着くルートも素敵です。
これで灯台に登れたら朝鮮半島の方まで見えるんじゃない?と妄想が広がりますが、
登れる灯台は日本に16基だけなのでもちろん登れず・・・残念。
ただ登れなくてもこのダイナミックな地形は忘れられない場所になりました。
地図子が最近大ハマりの登れる灯台、今回はここまでになります。
灯台から見えるのは、空と青、この地球そのものでした。
16基しかない灯台に登り、皆さんも是非心癒される体験をしてみてください。