ふと思い立って、プチ冒険

私は鉄子ではなく、地図子です

山手線二十九景 -23 駒込-

生きていると、逃げ出したくなる日もある。

 

 

 

 

 

 

 

逃げ出したいな、と思ったら、多分逃げ出した方がいい。

少し逃げ出せば気分が変わるのであれば、少し逃げ出すのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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逃げ出し過ぎなのでは、という心の疑問は一旦置いておいて、

今回は東急東横線沿いの駅で真面目に生きることに疲れたので、

東急東横線で逃げ出そうとした。

 

 

 

・・・と思ったら、やってきたのは東京メトロ日比谷線直通だったのだ。 

 

 

 

日比谷線は普段乗らないが、うーん・・・

と思い切って乗ってみた。

どこかオアシスはないか、と日比谷線の路線図を眺める。

 

 

 

 

 

 

 

都電荒川線・・・

都電荒川線の終電が日比谷線三ノ輪駅にあるようだ。

オアシスはここに決定した。

 

 

 

 

 

 

 

三ノ輪駅で降りると、当時まったく無縁だった下町情緒が広がっていた。

昭和な商店街を横目に、都電荒川線の小さいホームへ歩く。

女1人で午後3時くらいの都電荒川線にぽつんと乗って、揺られる。

どこを通るのかはよく分かっていない。

 

 

 

「お嬢ちゃん、どこ行くの?」

隣に座っていた60代くらいの男性1人と女性2人のグループがいて、

男性に話しかけられた。

 

「初めて都電荒川線に乗ったので、どこかぶらぶらしようと思っています」

と応えると、

 

「そうなのか~、僕たちもう大体ふらふらしたから、これを1枚あげるよ」

と、都電荒川線の回数券を1枚くださった。とても嬉しい。

 

「ありがとうございます。どのあたりに行かれたんですか?」

と聞くと、うーんと悩みながら、

「この旧古川庭園あたりがよかったよ!」

と教えてもらえた。

 

 

 

オアシスが具体化された。

お礼を言って、飛鳥山駅から南北線沿いの道を歩くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

駒込といえば、そのときの風景なのである。

北区の中に少し文京区が香っていて、人通りは少なく、

突如旧古川庭園のような大屋敷が現れる。

気軽さの中に、尊さがある。

 

 

 

 

 

 

 

駒込は気品と、人の優しさが染みる街だった。

それにしても、少しだけ気になっているのは、

男性1人に女性2人とは、どのような仲だったのだろうか・・・

 

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