「住みたい街ランキング1位」への穿った見方かもしれないが、
「恵比寿が好き」と言っている人には、
どうしてもどこが好きなのか聞いてみたくなってしまう。
周りに好みを合わせられるというのも社会において立派な能力だと思うが、
私は自分の目で見て、耳で聞いて、感じて
「周りがそう思わなくても、自分はこれを好き!」
と自信を持って言っている人が好きだし、尊敬する。
かくいう私がどう思うかというと、今回自転車で1周していても、
渋谷から恵比寿に向かう途中から何となく暗いのだ。
皆さんもおそらく渋谷から原宿や表参道へ向かう道はすぐ思い浮かぶと思うが、
恵比寿に向かう、東口から首都高速3号線下をくぐった暗めの明治通りを
よく通る人はなかなかいないのではないだろうか。
恵比寿に到着しても、やはり街の色が少し暗い気がする。
なぜかを考えながら、ふと通り沿いに連なっていた垂れ幕を見上げる。
「山の手の下町」、か。
そうか、ここはもともと下町だったのか。
その空気を何となく感じ取っていたのかもしれない。
下町の頃はもっと明確に恵比寿に目的がある人たちで賑やかだったのかもしれないが、
今は人は歩いているが、もぬけの殻な気がするのだ。
恵比寿が好きだと言っている人たちはオシャレだと信じてお店に向かうが、
「住みたい街ランキング1位」は実はもともとは思い込みなのだ。
一方、今回見つけた看板も看板で、かなり思い込みをしている。
近年恵比寿に来る人たちは、恵比寿のことをもう下町だなんて思っちゃいないのだ。
そのズレにもどかしさ、光り切れていない暗さを感じていた。
人は思い込みによって、時には必要以上に夢を見て、
時には必要以上に現状を悲観しながら生きている。